景気底打ちを先導する商品市況に注目
株式市場の回復が徐々に鮮明になってきましたね。このような局面では、経済指標や企業収益などが悪いため、回復への自信が持ちにくい。そのため「気がついたら株価が上がってしまっていた」という現象が生じますが、それはいつものことなのです。
そうならないための手段の一つは、商品市況に注目することです。景気の動向の変化を何よりも先に映し出すからです。
そこで、私がFXブログ「野村雅道と楽しい投資仲間たち」に3月16日に寄稿したコメントを引用しますので、何かのご参考になれば幸いです。ご興味のある方は野村ブログも是非ご覧ください。http://fxshonan1.cocolog-nifty.com/kawasedangi/
以下は「さらに一歩(その1):かかし」2009年3月16日からの引用です。データ等が若干古いのでご注意ください。
さらに一歩(その1)
「かかし」です。
昨年12月に「嵐の船出」をしてもう4か月になろうとしています。最初は、「不況に負けない元気な株」を探し出して嵐に備えました。そして、しだいに嵐から抜け出す気配を感じ、底打ちの兆しを確かめつつ、「次の一手を考える」ことに集中してきました。今回から「さらに一歩」進めてみようと思います。
まず最近3週間の日米株価動向です。日経平均株価は赤い太線で示しました。
日経平均株価は、先週にも申し上げた通り、NYダウ平均株価から離れて上に行きたがっている様子です。金曜日には、ようやく25日移動平均線を上回りました。1月中旬以降ずっと下回っていただけに、基調の転換を予感させます。もっとも、NYダウも急速に追いついてきました。
では、このような局面では、どのように対処すればよいのでしょうか?百人百様の考え方があるでしょう。私は景気動向と株価との関連性に注目しています。
カリフォルニア大学アービン校で公共経済学を担当されているピーター・ナヴァロ教授が2002年に書かれた「ブラジルに雨が降ったらスターバックスを買え」(IF IT'S RAINING IN BRAZIL, BUY STARBACKS、 PETER NAVARO , McGraw-Hill, 2002) という本が景気と株価について、非常に明快で示唆に富む記述にあふれていて参考になります。株好きの大学教授は結構多いのですかね?
教授の考え方を詳細にお伝えするのはまたの機会にして、ここでは、景気の底打ち局面でどのようなセクターの株価が動くかという点だけに焦点を絞らせていただきます。景気の大底で金融、その後強気相場初期に輸送機器、そしてテクノロジーと続くのだそうです。
金融、輸送機器と最もダメージの大きいセクターが反発に転じれば、株価パフォーマンスはすごい数字になりますから、教授の見方が正しいのかも知れません。
景気と株価の関係は、米国だけでなく、日本でも同様に見出せるので、重要な参考書としてとても大切にしています。ただし、米国も日本も、現在までのところ鉱工業の出荷に基調転換が確認できないため、教授の理論をそのまま使ってポートフォリオを作る勇気が出てきません。
そこで、私が現在頼りにしているのが商品市況です。すでに底打ちが鮮明です。まずCRB指数を見てみましょう。上昇に転じたとは言えませんが底堅さが鮮明です。
おまけにフィラデルフィア半導体指数まで上昇に転じています。これで、インテル株も上昇しているようですが、これはちょっと出来すぎかも。ハイテク分野の在庫は依然として高水準にあるからです。
以上の動向を見れば、商品市況、特に原油の底打ちに対する興味が湧いてきます。国際石油開発帝石などの石油開発株だけでなく、新日本石油などの石油精製株も注目です。商社株も石油価格との連動性が高く注目しているのですが、三菱商事は原料炭の価格低下によるダメージが懸念され、三井物産も鉄鋼石価格の低下が株価を抑えそうです。ただし、住友商事は、もともと不動産会社が発祥のため、原料炭や鉄鉱石の比重が低く、事業のバランスが良いので注目しています。
かかし
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