鉱工業生産動向が6月相場の牽引役に?
先週金曜日に発表された4月の鉱工業生産動向では、4月の季節調整済み生産指数が前月比5.2%とかなり高い伸びを示したのですが、株式市場はあまり反応しませんでした。
おそらく、生産の原指数による前年同月比が依然として31.2%の大幅な減少にとどまっていることが、影響していると思われます。
ところが、出荷や在庫の動きも考慮すると、底打ちから反騰への動きが鮮明に浮かび上がっています。
そこで、出荷数量の増減率から在庫数量の増減率を差し引いた「出荷在庫バランス」という指標を使って、4月の鉱工業生産の内容を検討してみたいと思います。
この指標が上昇する場合は、出荷の勢いが増すか、在庫調整が進展しているわけですから、景気の状況が改善していることを意味します。株式市場はこのような状況を好むので、株価が高い確率で連動する傾向があります。
まず鉱工業全体を見ましょう。在庫調整の進展から年明け後には底打ちを示しています。さらに出荷の底打ちも鮮明になり、出荷在庫バランスの反騰が一段と明らかになってきました。
次に鉱工業の中の耐久消費財を見ましょう。自動車などが含まれます。すでに底打ちは鮮明ですが、4月はちょっと一休み。ただし、基調は強いと言えます。
非耐久消費財は安定的ながら、4月は軟化しました。食品や衣料品などが中心です。在庫が積み上がり気味なのが気になります。ディフェンシブな性格の強い銘柄が多く含まれます。今月の株価は残念ながらパッとしないようです。
次に資本財です。設備投資関連が主体となります。正直なところ厳しい状況ですね。機械セクターなどの本格的な回復にはもう少し時間がかかりそうなことを示唆しています。
資本財とは異なり、建設財は底入れの兆しが出てきました。電炉鋼などの基礎素材銘柄が多く含まれます。これから、公共投資の恩恵にも浴するわけですから、注目できそうです。
最後に生産財。中間製品のメーカーが中心です。電子部品などのハイテク分野から、化学、高炉鉄鋼など基礎素材まで幅広い企業が含まれます。この生産財は、建設財以上に底入れ感が鮮明です。どうも株価はすでにこの動きを織り込んで動き始めているようです。
以上から、鉱工業の動きをまとめると、分野によってマチマチな動きではありますが、耐久消費財、建設財、生産財の基調が好転しており、全体としても堅調な動きになっています。おそらく、これらの分野に属する質の高い銘柄群のパフォーマンスが良いということになりそうです。
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