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2009年8月18日 (火)

食品卸の続きです

 今回は、前回お話した食品卸売業の続きです。

 

 卸売業と聞くと、多くの日本人は、付加価値の低い仕事をしていて、やがてなくなる産業というイメージを持っているのではないでしょうか。

 

 しかし、メーカーの作った商品を小売業に届ける機能は流通に必要不可欠であり、特に日本のようにメーカー数、小売業数が多い国では、メーカーや小売業が直接行うより、卸が行ったほうが圧倒的に効率的となります。

 

 また、コンビニエンスを見るとよくわかるのですが、小さな店に多くの商品を並べるためには、日本の卸売業が持つ低コストの多頻度小口配送技術は不可欠です。

 その結果、あまり知られていないことですが、卸売業は日本全体が低成長期に入った1990年代以降もコンスタントに利益成長してきたのです。

 

 ただし、卸売業の長期的な業績を見ると、1970年代のオイルショック、1990年前後のバブル期には短期的に業績が悪化し、今回も2005年度、2006年度と悪化しました。これは、メーカーのコストが急上昇した時期に相当します。

 

 卸売業では、仕入れ価格が確定する前に、小売業に販売価格を示し、その後メーカーからのリベートが確定し、仕入れ価格が決まります。つまり、仕入れ価格を読むわけです。

 

 しかし、急にコストが上がるとしばしば読みが外れて、大幅な減益となります。今回も2005年度、2006年度と業績は大きく悪化しました。

 

 しかし、その後メーカーは値上げにあたって、卸売業、小売業の取り分を増やすような仕組みにします。これまでもそうでしたが、今回も2008年度、2009年度と卸売業の業績はそれによって大きく改善しています。

 

 前回お話しした、菱食(7451)の200812月期の連結営業利益は22%増え、先ごろ発表となった20096月上期の営業利益は13倍となりました。今通期の会社予想は29%増益予想ですが、大幅な増額修正も期待されます。加藤産業(9869)の20089月期の連結営業利益も18%増え、20099月期の第3四半期までの累計でも58%増となっています。通期予想は25%増益ですので、こちらも増額修正が期待できます。

 

 こんなにも好業績なのに株価がほとんど動いていないのは、好業績ゆえ去年の相場で株価があまり下がらなかったということと、あまり見ている人がいないということでしょう。

 

 菱食は長期間にわたって成長していますのでPBR1.3倍台と低くはありません。しかし、PERは会社予想では20倍程度ですが、増額修正を織り込むと15倍を下回ることも考えられます。また、加藤産業のPBR0.9倍強で、PERは会社予想で17倍、仮に増額修正されるとすれば15倍を切ってきます。

 

 卸売業の業績は景気とやや逆相関性があり、全体相場が弱いときに活躍する傾向もありますので、そろそろ投資の好機ではないでしょうか。

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