エスフーズ(2292):春 研一
全体相場の頭はやや重くなっていますが、相変わらず物色意欲は旺盛なようです。しかし、円高が進んでいるため、輸出企業の株価はやや厳しいかなという感じかもしれません。
さて、今週はエスフーズという会社に注目してみたいと思います。
同社はかつてスタミナ食品という名前の内臓肉中心の会社でした。商品のほとんどが米国から輸入した牛肉・牛内臓肉でした。「こてっちゃん」が有名で、1990年代初めのもつなべブームの頃に株式市場でも注目されました。
しかし、2003年12月に発生した狂牛病によって、米国からの牛肉輸入が途絶え、経営の危機に瀕しました。その後、オーストラリアからの輸入、豚ホルモンの開発を行い、国内牛肉を専門に扱うムラチクとの合併などで、経営の危機を乗り越えました。
米国産牛肉の輸入に関しては、2005年末に月齢20ヵ月以下について一度再開されたものの、輸入を禁止している背骨が混入した牛肉が見つかり、2006年1月に再び禁止されました。
その後は、2006年7月末に再開され現在に至っています。かつての主力商品である「こてっちゃん」も再開しましたが、ピークと比較すると20%程度の売上に過ぎず、回復はまだまだといったところです。
しかし、2009年2月期の連結経常利益は51億円と高水準となっています。スタミナ食品時代のピーク利益は約30億円で、合併したムラチクは15億円、子会社とした食肉販売のOM2は12億円ですので、3社合計の57億円に対しては10%程度下回りますが、着実に収益力が高まっていると言えるでしょう。
今期会社計画の経常利益は1%増の52億円で、上期も2%増益予想ですが、第1四半期の経常利益は28.5%増益と好調でした。食肉を扱っているので市況変動が激しいため、確実なことは言いにくいのですが、今のところ業績は上ぶれそうな勢いがあります。
業績が順調な背景の一つは、食肉市況全体が下落したことによって、牛肉の割高感が薄れ、豚肉や鶏肉より消費が堅調なことです。2007年、2008年は食肉市況が世界的な景気拡大と円安により上昇したため、単価が低い鶏肉の需要が好調でした。
しかし、この1年は逆の展開で、むしろ鶏肉の需要が低下し、牛肉が順調です。ただし、牛肉の中では低価格帯が好調なようです。同社は牛肉全般を扱ってはいますが、どちらかといえば低い価格帯の商品が得意分野です。
また、ここ数年、ホルモン、もつなべが静かなブームになっています。今のところ静かなブームといった感じですが、この不況が長引くと、バブル崩壊後の1992年にもつなべが大ブームとなりましたが、その再来ということも考えられます。
PBRは0.9倍台、PERも12倍台と割安感がありますので、ブームの再来に賭けてもそれほどリスクは大きくないと思われます。
次回にもう少し、現状について詳しくお話します。
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