8月の鉱工業生産動向をどう読む
今朝、経済産業省が発表した8月の鉱工業生産動向は、事前のコンセンサスに沿ったものであったためか、株式市場へのインパクトは限定的であったようです。
季節調整値の前月比で見て、生産が+1.8%、出荷が+1.0%、在庫が±0.0%というものでした。
ところが、原指数の前年同月比をベースに、出荷在庫バランスや在庫循環モメンタムを作成してみると、かなり様相が違って見えてきます。
ポイントを先に言っておくと、先月に比べ、状況の好転が鮮明になっているのです。
ということは、現在の急激な円高に起因する株式市場の停滞が一時的なものにとどまる可能性を示唆するため、注目しておく必要がありそうです。
まず、鉱工業生産の前年同月比増減率の推移です。回復傾向が鮮明です。
次に、鉱工業の出荷在庫バランス。出荷数量の前年同月比増減率から、在庫数量の前年同月比増減率を差し引いた指標です。
前月は減速の兆しが出ていましたが、再び上昇に転じました。在庫削減のペースは落ちたのですが、出荷の回復がカバーしたためです。図の中では、在庫は細い点線、出荷は細い実線で示されています。
この出荷在庫バランスを長期的なスパンでみると、回復の構図が一段と鮮明に浮かび上がります。
それでは、鉱工業の在庫循環モメンタムを見てみましょう。出荷金額の前年同月比増減率から在庫金額の前年同月比増減率を差し引いた指標です。
基本的には、出荷在庫バランスと同様の動きです。ただし、上昇のスピードが多少速いようです。
何故か? 価格に理由があります。出荷(産出)価格以上のペースで原料(投入)価格の下落が進んでいるのです。原料価格の下落は、円高と国際商品市況の低下の相乗効果であると見ています。
以上の動向を勘案すると、株式市場の動向は、「魔物が住む10月」は油断もスキもなさそうですが、その後は回復する気配です。
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