加藤産業(9869) : 春 研一
このところ、全体相場はこう着状態が続いていますが、個別銘柄の物色意欲は相変わらず衰えないようです。本欄の私のコーナーでは主として、ディフェンシブ・ストックを紹介していますが、それぞれ順調な動きとなっています。
中でも卸売業は好調でして、菱食(7451)はここにきて年初来高値を更新しています。また、先週紹介したメディパルホールディングス(7459)の株価も順調です。その中で、今回は加藤産業(9869)を改めて取り上げたいと思います。
8月にこの欄で取り上げたときの株価は1,500円前後でしたが、その後1,600円台をつけてから、一旦1,400円台前半まで下げて切り返し、現在1,570円台です。一方、菱食は2,100円台だった株価が、その後横ばいで推移し、9月半ばから上昇を始め、直近2,500円台に乗せています。
この2銘柄とも2、3年前までコストアップで落ち込んでいた業績が、前期、今期と急回復する局面であり、両社とも今期の業績は増額修正が見込まれます。それゆえ、注目できることはすでにこの欄でお話ししました。
さて、ここで11月の決算との関係でこの2銘柄について考えてみましょう。菱食は12月決算ですので、11月初旬に公表される決算は第3四半期となります。第3四半期も第2四半期までと同様好調が見込まれますが、すでに前年同期の利益水準が高くなっていますので、上期までのような増益は難しいと思います。
また、過去の習性を考慮すると、第3四半期までの累計が好調でも、通期の会社見通しを引き上げる可能性は低いと考えられます。
となると、今の株価位置も考え合わせると、決算発表後に株価がさらに短期的に上昇するのはやや難しいのではないかと考えられます。
一方、加藤産業の場合9月決算ですので、11月中旬には通期の決算発表と同時に、2010年9月期の会社計画も公表します。卸売業の場合、元来保守的な業績予想を公表する傾向がありますので、おそらく会社予想の営業利益は数%の増益にとどまるでしょう。
しかし、2009年9月期は現時点の会社予想の25%営業増益予想を上回ってくる可能性が高いと考えられます。
現時点のPBRは0.96倍ですが、決算期をまたぎますのでPBRは0.91倍程度に低下し、PERもおそらく14倍以下に下がると思います。よって、決算公表によって、再び評価される可能性は菱食より加藤産業のほうが高いのではないでしょうか。とりわけこのところ、ファーストリテイリングを筆頭に内需好業績銘柄は素直に評価されているので期待が持てそうです。
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