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2009年10月18日 (日)

決算シーズン入りを前に

 昨日の投稿記事「米国株式市場を振り返る 10月16日」の中で、「マーケットは、コスト削減により達成された利益よりも、業績回復の基盤となる売上の動向を気にしています。景気回復の証拠が欲しいということなのでしょう」と書きました。

 その点を多少掘り下げておきたいと思います。

 次の図は、しばしば引用する米国の全製造業在庫循環モメンタムです。

20091005

 この図の中で、細い実線で示されている出荷金額の増減率に注目してください。出荷金額はすなわち売上ですね。現在、株式市場が気にしているのは、この出荷金額の増減率を示す線が上昇を続けるかどうかということなのです。

 見やすくするために、全製造業の出荷金額増減率だけを抜き出して表示してみます。本格的な上昇局面に入るかどうか微妙なところです。

20091019

 実は、私は悲観的には見ていません。理由は、この全製造業を構成する細かなカテゴリーの動向をチェックしていくと、上昇するものの数が月を追って増加しているのです。このような局面では、全体の指標が下落する可能性がきわめて小さいと言えそうです。

 とはいえ、景気回復の証拠を見たいというマーケットのセンチメントは分かる気がします。

 そこで日本です。鉱工業在庫循環モメンタムから出荷金額の増減率だけを取り出した図が示されています。

20091019_2

 米国よりはるかに回復基調が鮮明です。年初からの日米の株価乖離を追っていくと、日本が米国を上回る期間が長いことに気がつきます。その背景の一つには、このような出荷金額の動きの差があると見ています。

20091016

 だた、現在では日米の株価乖離が消えたことに注目する必要があります。原因は為替。対ドル円高への急速な動きが、日本企業の回復を遅らせるという懸念が、マーケットの頭を抑えていると考えられます。

 この対ドル円高の動きは軽視すべきではありません。ドルの反転に期待感が高まっているのは理解できるのですが、ロンドンインターバンク金利(LIBOR)を見ると、米国の異常ともいえる低金利が依然として続いています。

Libor3m20091016

 そして、シカゴオプション取引所のVIX指数が下落を続けています。

Vix20091017

 これらの図が意味するところは、VIX指数の下落が示すような投資家のリスク許容度の高まりと、米国の低金利から、ドルのキャリートレードが続くということです。したがって、ドル安と同時に、国際商品などへの資金流入が続くわけです。

 となれば、対ドル円高の重石はそう簡単に外れそうもないということになります。FXブログ「野村雅道と楽しい投資仲間達」で、月曜日(19日)午前7時に私の投稿記事「注意報再発令!(その1) : かかし」が掲載される予定です。このテーマに関して分析を進めていますので、時間が許せば、是非併せてご参照いただければと存じます。

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