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2009年12月26日 (土)

トリドール(3397) : 春 研一

世界的にはこのところ大きな波乱もなく、やや楽観的な気分に浸り始めたような気がします。しかし、あまりブレーキをかけすぎてもいけないのですが、過去の経験則から言えば、こういうときこそ気を引き締めたほうが良いことも多いのではないでしょうか。

もちろん、グローバルには楽観論のウエイトが高いのですが、国内に目を転じると明るい見通しは少ないように思われます。そのため、強い株はほとんどがグローバル展開を行っている企業です。たしかに、内需で好調という企業は一握りですが、その好調な企業の株価もそれほど強いわけではありません。中には売り込まれている銘柄もあります。

そこで今回は、2ヶ月ほど前に推奨した後、株価が調整しているトリドールを再び取り上げます。トリドールは、社名の由来にもあるようにファミリー向けの焼き鳥レストランからスタートした会社です。そして、今はセルフうどんの丸亀製麺が利益のほとんどを説明するようになっています。

店舗に製麺機を持ち込んで、打ち立てのうどんを提供しています。加えて、厨房をオープンにして、エンターテインメント性を持たせた店舗にしています。しかも、価格はかけうどんが280円で、立ち食いうどんとほぼ同レベルです。

現在の展開は、ショッピングセンターやロードサイド中心で、特に子供づれのファミリーで賑わっています。一家4人で5,000円はかかるファミレスを敬遠し、一家で2,000円台の価格帯に流れています。王将フードなどと並んで、同社もその選択肢に入ってきます。

同社では出店時に一度広告を打つだけでしたので、出店人気一巡後は、既存店はマイナス基調となります。しかし、新店を出店すると、2ヵ月目で黒字化するほどの集客力の高さが、同社の魅力です。

このところ株価が大きく下げているのは、11月の丸亀製麺の既存店が7.2%減となったことが影響しています。丸亀製麺の上期の既存店伸び率は0.5%減でした。それに対して、下期に入って10月が1.9%減と多少減少幅が拡大していましたが、11月が7.2%減と大きく落ち込んだことで、同社の成長性に対して不安感が持ち上がったものと考えられます。

確かにこのピッチで既存店が落ちて行ったら大変と思うのはわかりますが、それでは本質的な部分が見えていません。

まず、11月の7.2%減ですが、休日が1日少ないことで2%程度マイナスに利いていますので、実質的には5.2%減です。この中身を見ると、客単価が2%ほど低下していますので、この部分は従来より厳しいとは言えます。しかし、同社のような低価格外食でも客単価が落ちるほど厳しいということは、逆に同社にとってはフォローとも考えられます。つまり、低単価外食へのシフトが加速するという意味です。

一方、同社の場合は新設店舗が急増しているために、計算上の既存店売上高が、従来よりマイナス幅が拡大しても、新店寄与が少ない王将フードなどと比べた場合、それほど心配は要らないと考えられます。

簡単に説明しましょう。既存店の計算ですが、基本的に出店後18ヶ月で既存店計算に組み入れられます。同社の場合、このところどんどん新店を出していますので、それがどんどん既存店に組み入れられ、それが表面上の伸び率の足を引っ張ります。

なぜ、そうなるかというと、新店を出すときには販売促進の広告宣伝をします。最初の頃は、それほど知名度もなかったので、じわっと顧客が増える形となりました。しかし、ここ12年、知名度も上がり、出店すると数ヶ月間は出店景気のようになり、売上がどんと乗ってきます。しかし、その後は広告宣伝を打ちませんので、安定的な売上水準まで落ちてゆきます。この間は、売上の前年同期比が大きく落ちます。そのような店舗が既存店の計算にどんどん入る時期に当っているようです。特に11月は一気に56店舗が入ったということです。

つまり、既存店の落ち込みを、今出している新店の収益で十分カバーしているので、会社全体の成長率が落ちているわけではありません。

以上が、ここで売られているトリドールを買うチャンスではないかと考える根拠です。

なお、トリドールに関しては、私のブログ、「株式投資をファンダメンタルから極める」でビジネスモデルの基本的な部分について詳細に取り上げていますので、興味がある方はご訪問ください。

参照URLhttp://ameblo.jp/halariga/entry-10401914598.html

        

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