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2010年2月28日 (日)

1月の鉱工業生産動向を読む(その2) 在庫循環モメンタム

 昨日は「出荷在庫バランス」を通して、1月の鉱工業生産動向を観察してみました。今日は「在庫循環モメンタム」という指標を用いて見てみたいと思います。

 結論を先に言えば、当然でしょうが、大きな差があるわけではありません。ただし、在庫の動きにちょっと気になる違いが出ていますのでご注意ください。

 その前に、なぜ在庫循環モメンタムなのか?ということを簡単におさらいしておきたいと思います。

 出荷在庫バランスは、経済産業省のデータをそのまま使って、数量ベースの出荷の増減率から、数量ベースの在庫の増減率を差し引いて計算した景気指標です。

 在庫循環モメンタムは、経済産業省の数量データに、日本銀行の価格データを組み合わせて、金額ベースの出荷の増減率から、金額ベースの在庫の増減率を差し引いて計算した景気指標です。

 なぜ金額ベースにこだわるのか? 出荷価格の動きと原料調達価格の動きの間に違いがある場合があるため、それを反映させる必要があるということが直接の理由です。しかし、それだけではなく、米国の出荷・在庫統計が数量ベースではなく金額ベースで表示されているため、比較の観点から、金額ベースの指標を作成することが不可欠であるためです。

 指標の簡単な解説はこのくらいにしておきます。詳細は「在庫循環概念図」をご参照願えればと存じます。

 それでは、1月の鉱工業在庫循環モメンタムです。数値で示すと、出荷在庫バランスが31.90、在庫循環モメンタムが30.10とほとんど変わりません。長期はこのようになっています。

2010120100227

最近の動きを拡大するとこのようです。点線で示した在庫の動きにご注目ください。

2010120100227_2

 在庫数量と在庫金額の動きの差が出ています。金額ベースでみると上昇加速の兆候が鮮明です。

2010120100227_3

 なぜ数量ベースと金額ベースに差が出るのか? 価格の動きです。日銀の1月「製造業部門別投入・産出物価指数」を見ると、投入価格の上昇率が目立ってきました。投入価格は原材料価格、産出価格は出荷(販売)価格です。

2010120100227_4

 この展開から判断すると、原油価格など国際商品市況が堅調ですから、今後の投入価格上昇が続く可能性があります。すでに1月に投入価格は前年同月を1.4%上回ってきました。一方、産出価格は0.5%下回っています。

 ということは、今後は投入価格つまり原材料調達コストの上昇を産出価格つまり出荷(販売)価格に転嫁することができるセクターと出来ないセクターでは業績が大きく乖離してくることが予想されます。それが株価のパフォーマンスに大きく影響するだろうと考えています。

 それでは、在庫循環モメンタムはこれからどのような動きをするのでしょうか? 1月の出荷や在庫の数字が今後変化しないと想定して、今後の動きをシミュレーションすると次のようになります。

2010120100227_5

 どうやら、1月がピークであるようです。今後は下落していくのですが、201年5月までは比較的に高い水準を維持できそうです。問題は6月以降。その数字が発表される7月末以降は、株式市場も要注意です。

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