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2010年2月28日 (日)

長期波動を考える

 昨年4月26日に、「『上がる株』が見つかる投資理論(その2)」と題して、もっとも長期の景気サイクルについてお話しました。今回はその補論です。

 ずいぶん前の投稿ですので、まずその内容をそのまま転記します。

長期波動を考えよう (2009年4月26日投稿)

  今回は、何種類か存在する景気波動のうち、最も長いものに注目してみたいと思います。

 実は、この長期波動も何種類かあります。有名なのは、モデルスキーによる世界政治の100年周期モデル、コンドラチェフやシュンぺータによる世界経済の50年周期モデルなどがあります。

 数ある長期波動モデルの中で、最も興味深い日本の政治経済を基盤とする公文俊平氏による60年周期モデルを見てみましょう。コンドラチエフやシュンペーターとも重なり合うところの多いすぐれたモデルだと考えています。

 原典は「2005年日本浮上ー長期波動で読む再生のメカニズム」(公文俊平編著、NTT出版、1998)です。

 それを要約したグラフに、自分なりに勝手に書き込みを入れたものをお見せします。

20100227 

 簡単に説明すると・・・・

1855-1885 幕末。明治へ向かう混乱期。

1885-1915 「坂の上の雲」(司馬遼太郎)の時代。上昇期。

1915-1945 大恐慌から第二次世界大戦へ。混乱期。

1945-1975 高度成長。東京オリンピック。上昇期。

1975-2005 石油危機、バブル崩壊、金融システム不安。

 そこでポイントです。公文氏によれば、日本の長期波動は2005年を底に、2035年まで続く長期的な上昇期に入るということなのです。

 公文氏は、1996年10月10日にご自身で書かれた「公文レター」の中で、次のように述べられています。「第三上昇期(2005-2035) : 日本もようやく上昇局面に入るころ、世界は下降期に入っている。これは日本の新たな発展にとって有利な条件になるのか? 日本は情報化への突破をうまく達成できるのだろうか? 日本の最も賢明な対処の戦略は何か? 」

 「公文レター」の中に、それらに対する答えは見い出せないのですが、日本は上昇期の恩恵を十分に享受できると見たいところです。

 1885-1915の上昇期は「坂の上の雲」の時代でした。1945-1975は「ALWAYS」(三丁目の夕日)の時代と言えそうです。

 ならば、幕末から数えて3度目となるこの長期的な上昇局面は一体何の時代と呼ばれることになるのでしょうか? 楽しみです。

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 以上が投稿記事の内容です。

 現在が、幕末以来3度目となる大きな上昇局面の初期段階にあると見ると、気になるのは少子高齢化。

 ところが、考えてみると、明治の初期、あるいは終戦後と大きく違った点があることに気づきます。明治の初期から中期にかけての平均年連は43歳、戦後は52歳程度。ところが現在は80歳。

 そこで、人生を5つのステージに分けてみます。どの時代にも、各ステージが平均年齢の20%程度になっているようです。20%X5=100%というわけです。注目は第4段階の挑戦期。経営者として広い視野から会社をリードしたり、第2の人生にチャレンジしたりする時期です。

R20100227

 坂本竜馬は亀山社中という商社を作ったのが31歳のころ、渋沢栄一が銀行、製紙会社、ガス会社などをつくったのが33歳のころと記憶しています。若いように見えますが、当時の挑戦期は25歳から32歳程度。つまり、挑戦期の後期です。

 現代の挑戦期は40歳から64歳。つまり、明治初期の32歳、あるいは戦後の40歳が現在の64歳程度のあたると考えれば、少子高齢化のために日本経済がどんどん低迷していくとする見方が少しは違ってくるような気がします。

20100227_2

 もっとも、そのような人的資源の活性化や有効利用によって経済の潜在成長力を高めるような方策は、政治的なリーダーシップに依存するところも大きく、それが重大なボトル・ネックにならないように期待したいところです。

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