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2010年6月 6日 (日)

在庫循環モメンタムで米国景気を読む

ポイント

 先週金曜日の雇用統計を引き金に米国株式市場が急落しています。月曜日の日経平均株価への影響が懸念され、不安も大きいのですが、ここは冷静に米国景気の状況を確認しておきたいところです。

 結論を先に言えば、景気の状況は株式市場が心配しているほど弱くないのではと見られます。ただし、これから景気は循環面の自然な動きとして弱くなりそうです。ところが、株価はさっさと下げています。したがって、多少皮肉な表現ですが、心配していた景気循環面の動きに伴う株価下落の懸念が、一足速い株価の下落で、小さくなっていると思われます。

 米国株式市場のさらなる下落は避けられないものの、そのマグニチュードは大きなものにはならないと考えています。そして、万一、欧州問題などの突発要因で大幅に下落するようなことがあれば、景気循環と株価との連動性の観点から、積極的に買いに動く必要があるかもしれません。日米の株価の連動性は基本的に高いため、日経平均株価に対するスタンスも同じものになります。

4月の米国製造業在庫循環モメンタム

 米国商務省が6月3日に発表した4月の「製造業出荷、在庫、受注統計」(3M)をベースに作成した在庫循環モメンタムは次のようになっています。

20100606

 在庫循環モメンタムという指標の詳細は「在庫循環概念図」をご参照ください。

 ポイントは、在庫循環モメンタムの水準がいまだに高いことです。長期的に視点から見ると、現在の水準の高さが鮮明です。

20100606_2

 この指標を構成する出荷の動向は次のようになっています。金額ベースの出荷ですから、製造業の月次の売上動向と読み替えることもできます。

20100606_3

 一方、もう一つの構成要因である在庫の動向を見ると、積み上がり傾向が鮮明です。

20100606_4

 ということで、在庫の積み上がりの勢いが増しつつあるのが気になるのですが、出荷が強いため、在庫循環モメンタムが依然として高水準を維持しているということになります。

 さて、問題はこれからです。指標に頭打ちの兆しが明瞭になってきました。景気循環面からは自然な動きです。

 では、これからどうなるのか?在庫循環モメンタムは下落基調になると考えています。4月の出荷、在庫の水準が変化しないとして、今後の在庫循環モメンタムの動きを示すと下記の通りです。

20100606_5

 参考までに、日本の鉱工業在庫循環モメンタムの動きも示しておきました。同じような動きです。日米の株価の連動性の高さから見ても整合的な推移です。

 そこで、この在庫循環モメンタムとダウ平均株価の動きですが、おおむね連動しています。ということは、株価は下がるということになります。

20100606_6

 ところが、株価が一足早く下げています。株価が下げるほど、景気循環面から懸念していた株価下落のマグニチュードが小さくなるという点は重要だと考えています。

 したがって、万一大きく株価が下落するような事態が生じれば、循環面から見た反騰の可能性もありうると考えて、今後の欧州の動向などの推移に注目しています。

補論:在庫循環モメンタムと株価の連動性について

 在庫循環モメンタムの上昇に比べると、株価の上昇率が小さいように見えますが、これは緊急経済対策等による需要(=出荷)の部分を株式市場が評価していないためだと考えています。

 これから在庫循環モメンタムは下落基調に入りますが、需要の水増し部分を株式市場は評価してこなかったのですから、指標の下落の大きさに対して、株価の下落は緩やかで、ずっと小さいものになると見ています。

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