なぜ今「景気回復宣言」?
18日に発表される6月の月例経済報告で「景気回復宣言」をする方針だと報道されているようです。
政策的な配慮もあるのでしょうが、個人的には違和感を感じています。景気はこれから改善するのではなく、悪化するように見えるからです。
そう考える根拠は、景気指標である鉱工業在庫循環モメンタム。出荷金額の変化率から在庫金額の変化率を差し引いて算出する指標です。(「ご質問に答えて:出荷在庫バランスについて」)
この在庫循環モメンタムで見ると、景気の底打ちは2009年2月、景気のピークは2010年2-3月となります。既に下降局面に差し掛かっており、今後の動きをシミュレーションすると、下落のペースは一段と速まる気配です。
なぜ今「景気回復宣言」なのか?
住専問題におおむね決着がついた楽観ムードの中で、1996年に誕生し、「財政危機」を背景に「財政構造改革」を優先して、デフレ経済をすっかり定着させた橋本政権のころがとても参考になるような気がしています。
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コメント
いつもブログをご覧いただき、大変ありがとうございます。
二番底か、循環面での下降局面かという点ですが、3-5年の在庫循環面での下降局面と見ています。
この下降局面ですが、より長期の景気サイクルとの合成波として見ることが重要です。特に20年の波長をもつ建設サイクルを重視しています。
その建設サイクルは、日本が大底からの上昇局面、米国がサブプライムで増幅されたピークからの下降局面となっているようです。
日本は、長期波動が上昇ということで、短期波動の上げは大きく、下げは小さめになると見ています。
米国は、長期波動が下落のため、上昇は小さく、下落が大きいと考えているのですが、長期波動の下落があまりにも急で、かつ大きかったため、反騰の可能性があります。
ということで、日米とも短期循環の下落局面は、あまり深刻なものにはならないと推測しています。
中国は、出荷や在庫などの経済指標が整備されていないため、判断が難しいのですが、米国と同様に建設サイクルが下降基調にあることが気になっています。しかも、米国のような、大幅な調整を経ていないのが心配の種です。
投稿: かかし | 2010年6月13日 (日) 22時02分
いつも興味深い記事で参考にさせていただいています。
アメリカと日本は景気がピークアウトすると書かれていますが、中国も同様でしょうか?
それからピークアウト後は、二番底方向か景気循環の一環としての調整かどちらになると思われますか?
簡単で構いませんので、教えてください。
投稿: k | 2010年6月13日 (日) 11時20分