在庫循環モメンタムで米国景気の方向性を探る
先週金曜日の米国雇用統計発表でマーケットが見せた動揺は興味深いものでした。バーナンキ議長の警戒的な発言にもかかわらず、景気の方向性について見方が分かれていることが示唆されていたように見えました。
そこで、米国商務省が8月3日に発表した6月の「製造業受注統計」、正確には「製造業出荷・在庫・受注統計」、を使って、景気の方向性を見てみたいと思います。
結論を先に申し上げておくと、景気は減速局面にあります。そして、その動きは今後一段と鮮明になるものと思われます。
ただし、注意すべきことは、この減速はあくまでも通常の短期景気サイクルの下降局面にすぎず、構造的な問題を含む悲観すべき展開ではないということです。
6月の統計を在庫循環モメンタムという景気指標で見ると、次のようになります。この指標は、出荷金額の前年同月比増減率から在庫金額の前年同月比増減率を差し引いて算出する景気指標です。
赤い太線が示すように、在庫循環モメンタムの低下傾向が一段と鮮明になってきました。景気は減速ということです。
それでは、在庫循環モメンタムの下落はさらに続くのか? 6月の出荷金額、在庫金額が今後変化しないとして、今後の動きをシミュレーションすると次のようになります。一直線の下落ではないのですが、方向性は右下がりです。
この指標とダウ平均株価の連動性はかなり高いため、基本的にはダウ平均株価の上値は重いと見る必要があります。
製造業の中で気になるのは、コンピュータ及び周辺機器という代表的なハイテク分野の在庫循環モメンタムがピークアウトしたことです。
この指標との連動性の高いナスダックの上値も重くなりそうです。
注目したいのは、日米の在庫循環モメンタムの連動性が高いこと。したがって、日経平均株価についても上値の重いことを警戒する必要がありそうです。
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