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2010年10月31日 (日)

9月の鉱工業生産動向を出荷在庫バランスで読む

 先週金曜日(10月29日)に経済産業省が発表した9月の鉱工業生産動向(速報)を出荷在庫バランスで見てみたいと思います。

 出荷在庫バランスは出荷の増減率(前年同月比)から在庫の増減率を差し引いて算出する景気指標です。

 鉱工業全体の出荷在庫バランスは低下しました。ただし、これまでの推移から見て想定内の動きです。今年2月をピークにかなり調整か進んできています。セクター別に見ると、非耐久消費財建設財の基調が強いのが目を引きます。

 鉱工業全体で見ると、すでに2月をピークに、かなり大幅に低下しているため、いつ頃底打ちが期待できるのかを考える時期になってきたようです。景気悪化を心配する時期もようやく終盤に入り、景気回復に焦点を合わせる必要が出てきそうだということです。ただし、一般的な景気に対する見方は、むしろ一段と弱気になるかもしれないと見ています。

 まず、鉱工業全体の出荷在庫バランスです。急速な調整が鮮明です。

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 最近の動きをより詳細に見れば、今年2月の36.51をピークに、8.85まで大幅に低下しています。この景気指標が悪化しているさなかに、政府は本格的な景気回復宣言をするかどうか悩んでいたのは皮肉な動きでした。

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 内訳を見ます。まず、乗用車などの耐久消費財。基調は弱まっています。エコカー減税の反動などで、今後一段と低下が進みそうです。

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 次に、食品、衣料などの非耐久消費財。9月の入ってからも猛暑が続いた影響が大きいようです。出荷在庫バランスは水面下ながら反発が目立ちます。化粧品が好調であったのも猛暑効果が影響しているように見えます。したがって、今後は猛暑効果の反動を考慮する必要がありそうです。

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 機械などの資本財は頭打ちから低下が鮮明になっています。自動車に連動する分野の比重が高いこともあって、今後はさらに下落しそうな様子です。

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 資本財とは対照的に、建設財は堅調です。長く低迷を続けてきた住宅需要の底打ちが背景にあると見られます。鉱工業全体の中で、最も力強い動きを見せています。

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 電子部品などのハイテク・セクターや、鉄鋼(高炉)、化学など幅広い中間製品を含む生産財は低下基調が明瞭です。円高のダメージも大きく、厳しい事業環境にあります。

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 以上から、鉱工業全体の出荷在庫バランスは10月以降下落が加速しそうな様子です。ただし、既に調整はかなり進んでいるために、今後の動き次第では、早い段階で底に達する可能性が高いと考えています。おそらく-10の近辺が大底になりそうです。場合によっては、もう少し底が浅い可能性もあります。

 景気の悪化を心配すべき時期もようやく終盤に近づいてきました。そのため、2009年と同様に、2011年もかなり早い時期から株式市場が回復に転ずると期待しています。もし円高の反動による円安が加われば、回復はさらに大幅なものになると思われます。

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