今回は伊藤園の優先株(25935)に注目してみたいと思います。注目ポイントは以下の四つになります。
まずは、伊藤園の優先株は配当利回りが高い(48円)ため、配当落ち前の4月、10月に高値を付け、5月、11月に株価がかなり調整する傾向があることから、今が投資チャンスだということ。依然、投資価値から考えて、普通株に対する割安感が非常に大きいため、リスクが小さいこと。6月初旬に、通期決算が発表されるわけですが、2011年4月期は増額修正の可能性が高く、2012年4月期も堅調な業績予想となりそうなこと。いよいよ飲料業界第3位に躍り出て、中長期的な成長性も期待できる局面にあること。
伊藤園の優先株とは議決権がない代わりに普通株より配当が10円多い株です。10円の配当と議決権のどちらが重要かと言えば、議決権に影響を及ぼすほどの株主を別とすれば、10円の配当のほうが重要ではないかと思われます。
それにもかかわらず、優先株が普通株に対して大幅に割安な状態が続いています。優先株が割安な理由は、優先株がTOPIXの計算に入っていないためです。機関投資家が運用するファンドの多くはインデックスがベンチマークですので、インデックスに入っていない銘柄を持つことはリスクと考えるためです。
特に日本の機関投資家はそのような杓子定規な考え方をします。同じ機関投資家でも海外の投資家はそうは考えません。そのため、割安な優先株の株主には海外の投資家が多く名を連ねています。
日本の多くの投資家が優先株を保有しないため、減配懸念の少ない株でありながら、5%近くの配当利回りとなっているのです。一般的に5%もの利回りの株は、配当金の将来見込みが不安定な企業が多くなっています。
しかし、同社の場合、普通株の利回りは他の企業より高いわけではなく、健全な企業と評価されています。
配当利回りが高いことから優先株の株価動向には非常に大きな特徴があります。つまり、配当の権利付き期末(4月、10月)まで株価が高く、権利落ちから急落して、その1、2か月後に底をつけて次の権利日まで上昇する傾向にあります。ですから、基本的には配当利回りが高いゆえ、配当をもらわない、という投資手法になります。
終わった2011年4月期は去年の夏が猛暑であったということもあり、期初予想を期中に増額修正していますが、それをさらに上回って着地しそうです。一見すると、猛暑だったのだから業績は良くて当然と考えがちですが、同社の業績は猛暑効果を割り引いてもかなり好調です。
同社はお茶と野菜飲料が二本柱でしたが、ここ数年両市場とも不振が続いていました。しかし、お茶市場はまだぱっとしませんが、野菜飲料市場は再び伸び率が高まっています。また、これまでは弱かったコーヒー飲料や紅茶飲料でもブランドを確立し始めています。
同社は飲料数量で3強の一角であるキリンビバレッジを抜いて、いよいよ3位に躍進したと思われます。飲料業界は数量効果が働きやすい業界ですから、この躍進によって、さらに収益性を高めるチャンスが来たとも考えられます。
去年のような猛暑の年は、猛暑によって業績が好調で大幅な増額修正になったとしても、必ずしも株価が上昇するわけではありません。それは翌年の反動減による業績悪化を考えるためです。そのためむしろ、猛暑の翌年の業績がいいと評価される可能性があります。
同社の場合、主要商品は緑茶や野菜飲料であり、炭酸飲料やスポーツ飲料、ミネラルウォーターほど猛暑のインパクトは大きくありません。だから反動減も少なくなります。加えて、同社は猛暑で業績が大きく上振れる場合、先行投資的な費用を投入し、翌期の業績を引き上げる施策を打つことが多いのです。そのため、過去においては猛暑の翌年も増益となることが多かったことがあります。
さらに言えば、今年は電力不足でオフィスなどの温度が多少高めの設定となるため、飲料需要が高まることが予想されます。一方で、自販機の使用制限が考えられますが、同社は自販機のウェイトが大手の中では最も低いということもプラス要因となるでしょう。
以上、現時点で伊藤園の優先株は従来の季節要因以上の買う理由がある株ということになります。
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