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2011年8月24日 (水)

沢村十四郎レポート2011年8月(その4)

【3】安愚楽牧場へ投資した人の話(投資の基本について)

 和牛肥育の安愚楽牧場が破綻しました。単に和牛販売するだけでなく、レストラン事業などに展開したりして努力をしていたようですが、さすがに今回のセシウム汚染牛肉騒動は厳しかったようです。今回、この話を取り上げた対象は、安愚楽牧場本体ではなく、出資して損害を受けた人の方に対して感じたことがあったからです。

 ニュース記事によると一億円投資していた人がいたそうで、「元本だけは返してほしい」というコメントが書かれていて驚きました。

 まず、「元本だけは返してほしい」と言っている点です。そもそも投資に元本保証はありません。投資では、リスクとリターンを考慮して実行するかどうか決めます。元本保証なら預金でしょう。預金保険制度の範囲内にある1,000万円以内ならペイオフで戻ってきます。(もっとも昨今は預金ですら怪しいですが)余裕資金で投資は実行するべきです。

次に驚いたのはその金額です。一億円投資するなら運用資産は数十億円以上あるはずです。分散投資しているはずだからです。しかし、実際には集中投資していたようです。投資の基本である分散投資を守っていなかったことになります。

 和牛への投資は、上場商品への投資ではないため、資金回収の方法は配当と会社に買戻してもらうしかありません。市場で売却する手段がなく、流動性が全くないのです。いざとなった時の回収手段がない以上、諦められる範囲で留めるべきでしょう。

 記事によると、この投資は年3.8%配当だったそうです。単利商品で、流動性リスクが極めて高いのにこの配当は低すぎます。投資資金を回収するのに約30年かかる計算です。私には投資できないです。

 損害を被った方には気の毒ですが、今回の事例は、基本に則って投資を実行していないことから、損害を被るべくして被った事例でしょう。

<教訓>

 リスクとリターンを考えて投資を実行する。

 分散投資を行う。

 流動性を考慮する。

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