G ストラテジー

中長期的な観点から株式市場の動向を読む

2011年10月22日 (土)

沢村十四郎レポート : 為替と金利を考える

為替について(指標の見方)

 為替は二国間の相対的な関係から決まり、関係を左右する要因は次の4つです。

     通貨供給量 ②金利 ③経済成長率 ④経常収支

 それぞれについて見ていきましょう。

要因1:通貨供給量

 通貨供給量が多いほうが少ないほうより安くなるわけですが、その際に重要なのは通貨供給量モメンタムがどうなっているかです。

 日銀の白川総裁は日本のマネタリーベース(JMB)は米国や欧州よりGDP比率が高いので両者より緩和的だとして現在の状況を維持すると発言しました。

 これはマラソンに例えると「日本は先にスタートしたのでかなり先の地点まで進んでいる。欧米は遅れてスタートしたのでまだ後方にいる」というランナーの位置関係の話です。

 日本は21年前にバブル崩壊して金融緩和は先に始め、長期間緩和を続けた結果、JMBの対GDP比率が高くなりました。一方、欧米が緩和を開始したのはリーマンショックからで緩和期間が短いため、MBの対GDP比率が日本よりまだ低いのです。

 しかし、投資家は見るのは将来どうなるかで、現状がどうかではありません。将来は、それぞれのランナーが現在とっている行動(モメンタム)で予測できます。各ランナーの行動は「米国チームはバーナンキFRBQE1QE2とダッシュをかけてQE3でさらにダッシュしそうな様子を見せ、欧州チームのトリシェECBもそれに続こうと走っている。一方、日本チームの白川・日銀は休憩(注視)している」 という状況です。欧米がダッシュし、日本が止まっているなら、いずれ位置関係が逆転することが予想できます。

 次のグラフは日米通貨供給量の差と円ドル相場のチャートです。

20111021_3

 黒線が通貨供給量の差で、下方向が円高圧力、上方向が円安圧力になります。これと赤線の円ドル相場とはある程度の連動性が見られます。通貨供給量が円ドル相場に大きな影響を与えています。

 目先のドル円はこう着状態にあります。6月にQE2終了後、FRBが動きを止めており、日銀が動いていないせいでしょう。一方、ユーロ円が円安に振れています。ギリシャ問題対策でECBが金融緩和へ舵を戻し、ユーロ円の供給量差が影響しているようです。

要因2:金利差

 投資家は金利が高い国の通貨で運用した方が金利収入が増えます。そのため、金利が高い国の通貨が買われて高くなります。ここで注意すべきは名目金利ではなく、実質金利で比較する点です。インフレ率が高い場合、通貨はその分だけ減価します。

   実質金利=名目金利-インフレ率  ※注記

 この実質金利が高くなければ意味がありません。日本はデフレでインフレ率が低いので、名目金利が低くても実質金利は底上げされて高くなります。

 9/9の日本国債10年債金利は1.0%で5月の消費者物価前年比が0.6%、米国の10年国債金利は2.0%で5月の消費者物価前年が3.6%です。名目では米国債の金利が高いのですが、実質金利では

   日本:1.0%-0.6%=0.4

   米国:2.0%-3.6%=-1.6

 このように、日本国債の実質金利の方が高くなっています。金利面では円高圧力がかかっています。

   ※注記:近似式です。正しくは現在価値に割り引いて計算します。

要因3:経済成長率

 経済成長率の高い国では資金需要が多いために通貨が高くなり、成長率の低い国  では資金需要が乏しいために通貨が安くなります。なお、経済成長率も実質値で 見る必要があります。

 名目成長率が10%でも、インフレ率が20%では、10%-20%=-10%(実質成長率)となり、実際の経済は縮小しているからです。

 日本の実質経済成長率は大震災の影響で6月は年率-3.0%と低く、米国は1.30です。これだけ見ると円安要因と見えますが、米国の景気は低下しつつあり、一方、日本は下期から復興需要が本格化する可能性があり、モメンタム面から見ると円高要因になるかもしれません。

要因4:経常収支

 経常収支が黒字の場合、決済通貨が相対的に多く、通貨需要が高いために通貨が高くなります。

 日本の対米経常収支の黒字は2007年まで増加し、サブプライム問題発生後に減少、2009年後半からは横ばいで推移していました。大震災で大幅に減少しましたが、製造設備の復旧に伴い、今年の後半は増加が見込まれているので、やや円高要因と思われます。

 ただし、製造業の海外移転が相次いでいるため、将来は日本からの輸出による黒字は減少し、この要因が変化する可能性は考慮すべきでしょう。

 以上のように4要因から見て円高になっていることが理解できます。

 もっとも、円高トレンドがずっと続くと思い込まないように用心するべきでしょう。日本企業、特に製造業が続々と拠点をアジアへ移していますが、皆が行ったところで為替トレンドが円安へ転換しそうな気がします。為替トレンド転換まで考慮して海外展開しているかが経営者の優劣を決めることになると思います。

 米国が金融緩和を終了した場合、日本のデフレが終了してインフレ局面になる場合製造業の海外移転により日本からの輸出が大幅に減少して日米経常収支の

関係変化した場合などで4要因が変化するとトレンドが反転することがありえます。

 我々の投資においては、円高が続いても、円安に為替トレンド転換が起こっても やっていけるようにしていくべきでしょう。そのためには、ポートフォリオを為替分散しておくことです。そして適宜、円・ドル・ユーロ・その他の配分を見直していくべきだと思います。

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2011年10月 5日 (水)

沢村十四郎レポート2011年9月 : 経済概観

 今月も引き続きマーケットは荒れ模様ですが、その震源地は欧州です。

ユーロ圏の長期金利グラフ(出展:ECB)を見ると、経済状況の違う国同士の長期金利が急速に収束したことが判ります。通貨ユーロへ統合するために強引に行われたことです。

強引にやったことには歪みが生じます。今回のギリシャのデフォルト危機はその歪みによって発生したことです。

ギリシャは24%台の金利をわずか8年で5%に低下させました。ポルトガル、スペイン、イタリアも12,13%から低下させました。もともと低金利のドイツとフランスに比べると無理な感じがします。金利が急低下して借入が急増し、バブル化したのが、今回の財務危機の原因だと思います。

EUは政治的にはバラバラですから、一致団結して対応するのは困難で、かなり追い込まれないと根本対策は打てないと思います。当初は弱いユーロの恩恵を受けてドイツの輸出関係が伸びると考えて行動していました。しかし、解決まで長期間かかると為替安のメリット以上にユーロ圏経済の悪化、特に金融の縮小がデメリットになってきます。したがって、ユーロ圏の債券、株式等については、見通しがつくまでは配分を引き下げています。

ただし、「弱気の時こそリスク取れ」をという考え方がありますように、危機は

チャンスでもあります。ユーロ圏の良い企業を割安で買えるチャンスが巡って来ていると言えます。ここはじっくりと腰を据え、研究してみる良い機会ではないでしょうか。

Eu1020111005_3

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ちょっと一言 : 日米株価乖離とドル円の最近の動き

 しばしばご報告しているように、日米株価乖離とドル円の動きが連動していることに注目しています。最近の動きは以下の通りです。

20111004_2

 この見方は、日経平均株価の動きがダウ平均株価と為替によってかなりの部分が決まってしまうことを意味しています。

 これは、別の表現をすると、ドル建ての日経平均株価とダウ平均株価の動きが連動するということです。

 そこで大震災以降の両者の動きをグラフにすると以下のようになっています。

20111004_4

 結局のところ、円高の修正が強く望まれるところです。

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2011年9月 5日 (月)

7月の鉱工業生産動向を出荷在庫バランスで読むと

 経済産業省が8月31日に発表した7月の鉱工業生産動向速報に基づいて作成した出荷在庫バランスを見てみたいと思います。

 大きな変化はありませんが、わずかに低下しています。復興需要の遅れが鮮明で、建設財の低迷が目立っています。

 まず鉱工業全体。小動きで目立った変化はありません。

2011720110902_2

 鉱工業の中で、好調な動きを見せたのが耐久消費財。自動車が牽引しています。

201120110902

 非耐久消費財は高水準ですが、わずかに頭打ちになっています。大震災の被災地では強い動きですが、全体としては節電の影響があるようです。

2011720110902_3

 節電と円高のダメージを受けて、設備投資関連の資本財は停滞からの脱出に苦労している様子です。

201120110902_2

 輸送関連を除く資本財も同様の動きです。

201120110902_3

 目立つのは建設財の低迷。細い点線が示す在庫の急増が震災復興の著しい停滞を物語っています。政治的なリーダーシップが欠落していた状況が描き出されていますが、今後は変化が見えるかもしれないと期待しています。

2011720110902_4

 電子部品など中間財が中心の生産財は停滞していますが、多少の底堅さも見えるようになりました。

2011720110902_5

 全体としては、耐久消費財に牽引されて鉱工業全体が小動きになっていますが、今後は建設財など復興関連セクターの回復を期待しています。

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2011年8月25日 (木)

沢村十四郎レポート201年8月(その5)

【4】ミライアル(4238)(銘柄分析)

ミライアルはシリコンウエハ用容器を作っています。この製品は、ミライアルと信越ポリマーで世界市場を独占しています。(ミライアル6割)ハイテク業界に関わる製品ですが、ローテク要素があるため、新興国が容易に作れません。安値製品が入ってこないため、高い利益率を維持しています。

しかし、株価は昨年5月から下落傾向にあります。先日、業績を下方修正しました。ミライアルのビジネスはこのところうまくいっていないようです。この8月には市場の急落もあり、更に下げました。ちょっと買えないというのが普通の感覚でしょう。

 皆がそう考える時こそ、あえて「買い」なのではないかということで、検討してみました。

ミライアルの月末株価の前年同月比と電子部品・在庫循環モメンタムを比較したのが次のグラフです。このグラフを見ると、両者には連動性が見られます。

A20110822

B20110822

C20110822

 実際、ハイテク銘柄と在庫循環モメンタムには連動性があるものが複数あります。これは日本のものだけでなく、欧米、アジアなどの銘柄でも確認できます。ハイテクとは成長産業というより、むしろ景気循環産業というのが実態です。

 なお、実際の株価とその前年同月比とは別ではないかと思われるかも知れませんが、前年同月比のピーク時に株価が高値圏、同ボトム時に株価が安値圏にあります。したがって、電子部品の在庫循環モメンタムが反転した現在は、ミライアルの株価が安値である可能性が考えられます。

 ミライアルの株価指標を見ると
 連結予想PER(2012年1月期)8.9倍←過去3期のPERは7.524.9
 連結ROE(同上)9.3
 PBR0.9倍←株主資本77.1%と高い(ほぼ無借金)
 配当4.58%(配当性向42.2%)←高配当、配当余力あり 
 2011/8/15の株価 1,272円(売買単位100株)

となっています。これはバリューがある状態だと思います。特に配当が4%を超えており、キャピタルゲインとインカムゲインの両方を狙えそうな感じです。

 東日本大震災でハイテクはサプライチェーン損傷のダメージが大きいこと(信越半導体向け出荷の一部が出荷先工場の被災で長期停止)、シリコンウエハ容器のみに依存する事業構造リスクなどの問題があります(単品ビジネスはそれがコケたら会社が一気に傾く)。

しかし、グラフで見る限り、投資するタイミングです。株価はかなり上下動します。2007/6末株価は8,625円で2009/2末は814円で、実に90%下落(1/10になった)しています。一方、2010/5末は3,155円で304%上昇しています。極めてハイリスク・ハイリターン銘柄であることに十分、注意しましょう。

来月は為替について考えてみたいと思います。ではまた。

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2011年8月24日 (水)

沢村十四郎レポート2011年8月(その4)

【3】安愚楽牧場へ投資した人の話(投資の基本について)

 和牛肥育の安愚楽牧場が破綻しました。単に和牛販売するだけでなく、レストラン事業などに展開したりして努力をしていたようですが、さすがに今回のセシウム汚染牛肉騒動は厳しかったようです。今回、この話を取り上げた対象は、安愚楽牧場本体ではなく、出資して損害を受けた人の方に対して感じたことがあったからです。

 ニュース記事によると一億円投資していた人がいたそうで、「元本だけは返してほしい」というコメントが書かれていて驚きました。

 まず、「元本だけは返してほしい」と言っている点です。そもそも投資に元本保証はありません。投資では、リスクとリターンを考慮して実行するかどうか決めます。元本保証なら預金でしょう。預金保険制度の範囲内にある1,000万円以内ならペイオフで戻ってきます。(もっとも昨今は預金ですら怪しいですが)余裕資金で投資は実行するべきです。

次に驚いたのはその金額です。一億円投資するなら運用資産は数十億円以上あるはずです。分散投資しているはずだからです。しかし、実際には集中投資していたようです。投資の基本である分散投資を守っていなかったことになります。

 和牛への投資は、上場商品への投資ではないため、資金回収の方法は配当と会社に買戻してもらうしかありません。市場で売却する手段がなく、流動性が全くないのです。いざとなった時の回収手段がない以上、諦められる範囲で留めるべきでしょう。

 記事によると、この投資は年3.8%配当だったそうです。単利商品で、流動性リスクが極めて高いのにこの配当は低すぎます。投資資金を回収するのに約30年かかる計算です。私には投資できないです。

 損害を被った方には気の毒ですが、今回の事例は、基本に則って投資を実行していないことから、損害を被るべくして被った事例でしょう。

<教訓>

 リスクとリターンを考えて投資を実行する。

 分散投資を行う。

 流動性を考慮する。

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2011年8月23日 (火)

沢村十四郎レポート2011年8月(その3)

通常、過剰流動性がある場合は金融引き締めに転換し、過剰なマネーを吸収してインフレが収まるように舵取りします。しかし、米国は金融恐慌のダメージが大きく、今引き締めるとデフレに落ち込みます。そのため、FRBは引き締めをせずに様子を見ています。しかし、米国政府が財政出動する余力がなく、政治のネジれ状況が続いているため、今後、景気が悪化して失業が増加する事態になった場合、追加金融緩和(QE3)を実施する可能性があります。

その場合は、インフレを覚悟する必要があります。スタグフレーションです。その対策として、資源銘柄はある程度は保持しているべきでしょう。

一方、引き締めに転じた場合は株・商品には大幅な下落が待っていることを覚悟しておくべきです。過剰流動性で相場が終わると本当のクラッシュがやってきます。

この辺を理解していないと、相場の上昇に乗せられてリスクの高い金融商品に投資してしまう危険があります。在庫循環モメンタムとSP500モメンタムの関係を把握し、どんな状況であるかを見極めて配分を考えることが重要です。

一方、日本の在庫循環モメンタムは6月から大きく反転しました。大震災による在庫循環モメンタムの大幅下落の反動が出てきたからです。今後、半年は上昇基調が続くと見ています。これは国内要因なので、内需依存度が高い企業の場合は円高でも業績は伸びると見ています。

SP500と違い、日本のTOPIXモメンタムは在庫循環モメンタムと大幅に乖離していませんから、米国株より下落リスクが低いと考えています。

もっとも、大震災後の需要が一巡した後の展望は楽観できないと思います。従来型の社会構造が存続しているからです。経済構造の問題がある以上、日本への配分は抑え目にするべきと考えています。ただし、いつまでも抑え目で行くつもりはありません。構造改革が始まったら配分を増やしていく予定です。コンドラチェフサイクルの上昇に乗ろうということです。

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沢村十四郎レポート2011年8月(その2)

【2】SP500と在庫循環モメンタムについて(指標の見方)

今月はSP500株価指数と米国在庫循環モメンタムの関係についてレポートします。通常、SP500モメンタム(前年同月比)と在庫循環モメンタムは連動します。しかし、時々、連動性が崩れることがあります。何か異常事態が起こっている時に発生します。そういう以上事態を認識して資産配分を調整することは非常に重要です。今回のクラッシュでは一層強く認識しました。

以下のグラフを参照しながら説明しましょう。

Sp20110822  2002年後半から2003年初めにかけて、在庫循環モメンタムが上昇しているのにもかかわらず、SP500モメンタムは下降をして下方乖離しました。この時は、米国がイラクを攻撃する前の時期で、国際的な緊張が高まっていました。

そのため、リスク資産である株式から回避され、本来の価値より下げており、割安だったのです。一般の投資家はリスクが高いと判断し、様子見や株式等のリスクの高い金融商品を避け、米国債や現金比率を高めていました。しかし、下方乖離の状況からは株式の配分を高めすべきことが判ります。結局、米国のイラク攻撃開始とともに抑えられていた株価は上昇し、在庫循環モメンタムにキャッチアップして株式は高いリターンとなりました。

2006年後半には上方乖離が発生しました。在庫循環モメンタムが下落しているにもかかわらず、SP500モメンタムは上昇しました。この時に発生していたのが、過剰流動性による金融相場です。株価は実体経済の変動を先取りして動きますが、過剰流動性がある場合、実体経済とは関係なく、投機資金の流入によって動きます。その結果、SP500モメンタムが本来の価値より割高なレベルまで買われたのです。

この状況を把握していれば、株価の上昇とともに利食いしていき、現金と米国債へシフトする戦略が有効と判断できます。結局、過剰流動性の解消とともに株価は下落して割高な状況は解消しました。 (いわゆるサブプライム問題とリーマンショック)

7月末現在は、在庫循環モメンタムが下降しているにもかかわらず、SP500モメンタムが上昇して上方乖離が発生しています。これを引き起こしたのは、米国のFRBが去年11月に始めたQE2です。この金融緩和によって過剰流動性が発生し、株価や資源価格、穀物価格が上昇して世界的なインフレを引き起こされたのです。SP500の上方乖離が拡大している状況は要注意だったのですが、実際、8月に入ると株や商品で急落が発生しました。改めて乖離している時期は防御を固めておかねばならないと実感しました。

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2011年8月22日 (月)

沢村十四郎レポート2011年8月(その1)

 私(かかし)が参加している投資勉強会の仲間、沢村十四郎氏をご紹介したいと思います。エンジニアのバックグラウンドを持ち、独創的な投資センスにあふれ、そして何よりも素晴らしいパフォーマンスを維持し続けている投資家で、現在はご自身の投資顧問会社を経営されています。

 本人は「独断と偏見に満ちた」投資見解を公表されることに多少躊躇されているのですが、まさにその「独断と偏見」こそが、最も魅力的なところです。

 長めのレポートであるため、何回かに分けて掲載させていただきます。

 それでは、以下「沢村十四郎レポート」をお楽しみください。

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沢村十四郎レポート2011年8月(その1)

【1】 はじめに : 経済概観

 このレポートを一度、作成した後、配信前に相場のクラッシュが発生しました。

予測レポートのつもりがクラッシュ原因の解説になってしまいました。ただ、

市場のクラッシュは、かなりの頻度で発生しますから、このレポートに目を通す

のは、無駄ではないと思います。今後の事前対策に役立つと思います。

 米国の金融と家計は住宅バブル破綻後の金融恐慌から立ち直っていません。政治

もネジれ国会状態で与野党が対立して機能していません。現状ではFRB頼みに

なっています。欧州も南欧の財政悪化が深刻で、ギリシャのデフォルトが

イタリア・スペインに波及してきました。新興国では、世界的な金融緩和の影響で

インフレが進行し、低所得者層の生活を直撃し、政治的に不安定化しています。

インフレ抑制のために引き締めへ方向転換しつつあり、そのため、景気が悪化して

高い成長が困難になりつつあります。

  一方、日本は東日本大震災と福島原発事故によるダメージが深刻であるにある

にもかかわらず、政治が空転し、迅速な対応がなされず、復興の見通しも立って

いません。膨大な国債がある状態で復興資金、原発賠償金を調達しなければならず、

財政の悪化は深刻度を増しています。

  経済状況が危機的状況にある場合は、通常、現金比率を高め、リスクフリーの

国債比率を増やしてポートフォリオを構成するところですが、それが通用しません。

現金で預貯金にすると、金融機関はその資金で日本国債を買います。したがって、

資産を預貯金で構成した場合、間接的に日本国債で構成することになります。日本

国債の信用度が低下した現状では、預貯金のみの資産構成では保全できない危険性

を考慮すべきです。また、世界的には米国債が受け皿となってきましたが、今回の

デフォルト騒動で、長期的には米国債頼みの運用は難しくなりました。リスク分散

をさらに進める必要があります。このレポートはその手助けになる情報を提供する

ことを目的にしています。

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2011年8月11日 (木)

日米の株価動向について

 3月11日の東日本大震災以降の日米株価の動きを見ると、かなり高い連動性が見られます。したがって、ダウ平均株価の大幅下落は日経平均株価にとって大きな重しになりそうです。

20110810_4

 ただし、双方の株価の動きに関して最近の動向が気になっています。日経平均株価からダウ平均株価を単純に差し引いた日米株価乖離が右上がりになっていることです。

 この日米株価乖離とドル円の動きが強く連動していることに注目してきたのですが、大震災以降はその関係が崩れていました。それが再び連動性を取り戻してきたのです。

20110810_5

 もし一段の円高が避けられるならば、日米株価乖離の右上がり傾向が続くかもしれないと見ています。その意味するところは、ダウ平均株価の下落幅の大きさに比べると、日経平均株価の下げ幅は比較的に小さなものになりそうだということです。もし、為替介入の可能性も含めて、円安に振れることがあれば、日経平均株価の下げ幅は一段と小さくなりそうです。

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