沢村十四郎レポート201年8月(その5)
【4】ミライアル(4238)(銘柄分析)
ミライアルはシリコンウエハ用容器を作っています。この製品は、ミライアルと信越ポリマーで世界市場を独占しています。(ミライアル6割)ハイテク業界に関わる製品ですが、ローテク要素があるため、新興国が容易に作れません。安値製品が入ってこないため、高い利益率を維持しています。
しかし、株価は昨年5月から下落傾向にあります。先日、業績を下方修正しました。ミライアルのビジネスはこのところうまくいっていないようです。この8月には市場の急落もあり、更に下げました。ちょっと買えないというのが普通の感覚でしょう。
皆がそう考える時こそ、あえて「買い」なのではないかということで、検討してみました。
ミライアルの月末株価の前年同月比と電子部品・在庫循環モメンタムを比較したのが次のグラフです。このグラフを見ると、両者には連動性が見られます。
実際、ハイテク銘柄と在庫循環モメンタムには連動性があるものが複数あります。これは日本のものだけでなく、欧米、アジアなどの銘柄でも確認できます。ハイテクとは成長産業というより、むしろ景気循環産業というのが実態です。
なお、実際の株価とその前年同月比とは別ではないかと思われるかも知れませんが、前年同月比のピーク時に株価が高値圏、同ボトム時に株価が安値圏にあります。したがって、電子部品の在庫循環モメンタムが反転した現在は、ミライアルの株価が安値である可能性が考えられます。
ミライアルの株価指標を見ると
連結予想PER(2012年1月期)8.9倍←過去3期のPERは7.5~24.9
連結ROE(同上)9.3%
PBR0.9倍←株主資本77.1%と高い(ほぼ無借金)
配当4.58%(配当性向42.2%)←高配当、配当余力あり
2011/8/15の株価 1,272円(売買単位100株)
となっています。これはバリューがある状態だと思います。特に配当が4%を超えており、キャピタルゲインとインカムゲインの両方を狙えそうな感じです。
東日本大震災でハイテクはサプライチェーン損傷のダメージが大きいこと(信越半導体向け出荷の一部が出荷先工場の被災で長期停止)、シリコンウエハ容器のみに依存する事業構造リスクなどの問題があります(単品ビジネスはそれがコケたら会社が一気に傾く)。
しかし、グラフで見る限り、投資するタイミングです。株価はかなり上下動します。2007/6末株価は8,625円で2009/2末は814円で、実に90%下落(1/10になった)しています。一方、2010/5末は3,155円で304%上昇しています。極めてハイリスク・ハイリターン銘柄であることに十分、注意しましょう。
来月は為替について考えてみたいと思います。ではまた。
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