B 銘柄関連情報(マテリアル系)

フード、ケミカル、メタル、ノンメタル、エネルギーなど

2011年5月21日 (土)

【伊藤園の優先株(25935)】 : 春 研一

 今回は伊藤園の優先株(25935)に注目してみたいと思います。注目ポイントは以下の四つになります。

 まずは、伊藤園の優先株は配当利回りが高い(48円)ため、配当落ち前の4月、10月に高値を付け、5月、11月に株価がかなり調整する傾向があることから、今が投資チャンスだということ。依然、投資価値から考えて、普通株に対する割安感が非常に大きいため、リスクが小さいこと。6月初旬に、通期決算が発表されるわけですが、20114月期は増額修正の可能性が高く、20124月期も堅調な業績予想となりそうなこと。いよいよ飲料業界第3位に躍り出て、中長期的な成長性も期待できる局面にあること。

伊藤園の優先株とは議決権がない代わりに普通株より配当が10円多い株です。10円の配当と議決権のどちらが重要かと言えば、議決権に影響を及ぼすほどの株主を別とすれば、10円の配当のほうが重要ではないかと思われます。

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 それにもかかわらず、優先株が普通株に対して大幅に割安な状態が続いています。優先株が割安な理由は、優先株がTOPIXの計算に入っていないためです。機関投資家が運用するファンドの多くはインデックスがベンチマークですので、インデックスに入っていない銘柄を持つことはリスクと考えるためです。

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 特に日本の機関投資家はそのような杓子定規な考え方をします。同じ機関投資家でも海外の投資家はそうは考えません。そのため、割安な優先株の株主には海外の投資家が多く名を連ねています。

 日本の多くの投資家が優先株を保有しないため、減配懸念の少ない株でありながら、5%近くの配当利回りとなっているのです。一般的に5%もの利回りの株は、配当金の将来見込みが不安定な企業が多くなっています。

 しかし、同社の場合、普通株の利回りは他の企業より高いわけではなく、健全な企業と評価されています。

 配当利回りが高いことから優先株の株価動向には非常に大きな特徴があります。つまり、配当の権利付き期末(4月、10月)まで株価が高く、権利落ちから急落して、その12か月後に底をつけて次の権利日まで上昇する傾向にあります。ですから、基本的には配当利回りが高いゆえ、配当をもらわない、という投資手法になります。

 終わった20114月期は去年の夏が猛暑であったということもあり、期初予想を期中に増額修正していますが、それをさらに上回って着地しそうです。一見すると、猛暑だったのだから業績は良くて当然と考えがちですが、同社の業績は猛暑効果を割り引いてもかなり好調です。

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 同社はお茶と野菜飲料が二本柱でしたが、ここ数年両市場とも不振が続いていました。しかし、お茶市場はまだぱっとしませんが、野菜飲料市場は再び伸び率が高まっています。また、これまでは弱かったコーヒー飲料や紅茶飲料でもブランドを確立し始めています。

 同社は飲料数量で3強の一角であるキリンビバレッジを抜いて、いよいよ3位に躍進したと思われます。飲料業界は数量効果が働きやすい業界ですから、この躍進によって、さらに収益性を高めるチャンスが来たとも考えられます。

 去年のような猛暑の年は、猛暑によって業績が好調で大幅な増額修正になったとしても、必ずしも株価が上昇するわけではありません。それは翌年の反動減による業績悪化を考えるためです。そのためむしろ、猛暑の翌年の業績がいいと評価される可能性があります。

 同社の場合、主要商品は緑茶や野菜飲料であり、炭酸飲料やスポーツ飲料、ミネラルウォーターほど猛暑のインパクトは大きくありません。だから反動減も少なくなります。加えて、同社は猛暑で業績が大きく上振れる場合、先行投資的な費用を投入し、翌期の業績を引き上げる施策を打つことが多いのです。そのため、過去においては猛暑の翌年も増益となることが多かったことがあります。

 さらに言えば、今年は電力不足でオフィスなどの温度が多少高めの設定となるため、飲料需要が高まることが予想されます。一方で、自販機の使用制限が考えられますが、同社は自販機のウェイトが大手の中では最も低いということもプラス要因となるでしょう。

 以上、現時点で伊藤園の優先株は従来の季節要因以上の買う理由がある株ということになります。

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2010年12月24日 (金)

伊藤園の優先株(25935):注目銘柄 : 春 研一

 海外の喧騒は依然続いていますが、それでも株価は妙にしっかりしています。おそらく、ここ1年ほどの日本一人負けのイメージから株価を売ってしまった人が多かったということでしょう。このままいつまで続くかはわかりませんが、多くの人はまだおっかなびっくりで本格的な買いはないようですので、意外に継続する可能性はあります。

さて、経済の先行き自体は依然不透明ですので、なかなかファンダメンタルから物色対象を絞り込むのは難しい状況にあります。その結果、循環物色の様相となっています。その中で出遅れセクターの一つに食品株があります。依然景気減速懸念もあるわけですから、景気悪化に強い食品株が注目されてもおかしくないのですが、海外要因によって食品企業のアキレス腱でもあるコストが上がっていることがマイナスとなっています。

しかし、そうは言っても循環物色が続きそうなことを考えれば、意外と面白い可能性もあります。もちろん、株価が動いていないだけにダウンサイドリスクも小さいと言えます。

そんな中から今回は伊藤園の優先株(25935)に注目してみたいと思います。これまでも何度か取り上げていますが、改めて解説します。

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伊藤園の優先株とは議決権がない代わりに普通株より配当が10円多い株です。10円の配当と議決権のどちらが重要かと言えば、議決権に影響を及ぼすほどの株主を別とすれば、10円の配当のほうが重要ではないかと思われます。

それにもかかわらず、優先株が普通株に対して大幅に割安な状態が続いています。優先株が割安な理由は、優先株がTOPIXの計算に入っていないためです。機関投資家が運用するファンドの多くはインデックスを意識して運用していますので、インデックスに入っていない銘柄を持つことはリスクと考えるためです。

特に日本の機関投資家はそのような杓子定規な考え方をします。同じ機関投資家でも海外の投資家はそうは考えません。そのため、割安な優先株の株主には海外の投資家が多く名を連ねています。

その結果、減配懸念の少ない株でありながら、5%近くの配当利回りとなっているのです。一般的に5%もの利回りの株は、配当金の将来見込みが不安定な企業が多くなっています。しかし、同社の場合、普通株の利回りはそれなりの低さとなっています。

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配当利回りが高いことから優先株の株価動向にも特徴があります。つまり、配当の権利付き期末(4月、10月)まで株価が高く、権利落ちから急落して、その12か月後に底をつけて次の権利日まで上昇します。ですから、基本的には配当利回りが高いゆえ、配当をもらわないという投資手法になります。

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同社はお茶と野菜飲料が二本柱でしたが、ここ数年両市場とも不振が続いていました。しかし、お茶市場はまだぱっとしませんが、野菜飲料市場は再び伸び率が高まっています。また、これまでは弱かったコーヒー飲料や紅茶飲料でもブランドを確立し始めています。今年は飲料数量で、3強の一角であるキリンビバレッジを抜いて3位に躍進しそうだということも支援材料となるでしょう。

なお、優先株の見方に対するより詳細な解説は、無料レポート「伊藤園のビジネスモデル」で深く掘り下げていますので、興味があればご覧ください。

参照URL: http://cherry100.mods.jp/ra/s/90

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2010年12月18日 (土)

注目企業の財務株価分析:大塚ホールディングス(その2)

ポイント

 公募価格2100円に対して2170円でスタートした大塚ホールディングスは、その後多少軟調な動きを見せて、先週末は1980円で終えています。今後どのような動きを見せるか、気になるところです。個人的には、一段の下落は避けられ、底堅い推移に転じると見ています。

株価推移

 2170円の初値となった後、2234円まで上昇した株価は、その後軟調になり、金曜日には1930円までつけたと多少戻して1980円で終えています。

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 現在の時価総額は1兆1045億円。武田薬品工業の35%程度の規模です。

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財務分析

 財務データは全て1株当りです。業績については、今期は前期に比べてほぼ横ばい、来期は僅かに回復という見方をしています。財務体質が強靭であることがうかがえます。

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 利益率、資産効率(総資産回転率)、財務体質(財務レバレッジ:株主持ち分比率の逆数)などの観点から見ると、資産効率が比較的に良いことが特色です。

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 武田薬品工業と比べると利益率では見劣りがします。

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 ただし、製品構成の差が利益率の差になっていると見られますので、協和発酵キリンと比較してみると、利益率は決して見劣りがしません。資産効率でも大塚ホールディングスに分があると見られます。(協和発酵キリンの前期は決算期変更に伴う要因が含まれるのでご注意ください)

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株価評価

 業績見通しや配当政策に大幅な変動がなければ、来期の予想BPS(1株当り純資産)は1967円と見ています。一方、妥当なPBR(株価純資産倍率)は1.15倍程度と想定しています。したがって、株価はBPSxPBRで2254円程度が居心地がよさそうだと考えています。現在株価を14%弱上回る水準です。

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 1.15倍のPBRを妥当な水準とする理由は、PBRをPSR(株価売上高倍率)、総資産回転率、財務レバレッジの3つの要因に分解したうえで、PSRを1.11倍程度と見ているためです。この株価では、PER(株価収益率)を17倍と想定していることになるのですが、前期のPERが16.38倍ですから、違和感のない水準と考えています。

 同様な観点で武田薬品工業を見ると、予想BPS2,800円に対して、妥当PBRは1.59倍。したがって4464円程度を当面のメドとしています。

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 協和発酵キリンは、予想BPS965円に対して、妥当PBRは1.00倍。PBRは大塚ホールディングスを多少下回るのですが、利益率が低いことから、この株価水準でもPERは27.93倍という高水準を想定していることになります。ちなみに、大塚ホールディングスで想定しているPERは17倍です。

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 このように見ると、武田薬品工業や協和発酵キリンはあと12%足らずの上昇余地であるのに対して、大塚ホールディングルは14%弱。この差に大きな意味はないのですが、少なくとも株価は下げ止まりを見せて、徐々に堅調さを増すのではと期待しています。

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2010年12月11日 (土)

注目企業の財務株価分析 : 大塚ホールディングス

15日に上場される大塚ホールディングスを、武田薬品工業と比較してみました。

まず大塚ホールデイングスの時価総額。想定価格2,400円、公募8千万株のうち新株発行4132万株としています。時価総額はおよそ1兆3300億円。

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一方、武田は3兆2291億円。つまり大塚は武田のおよそ4割の規模です。

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次に財務の数字。すべて1株当りです。大塚は予想を発表していませんので、今期は横ばい、来期は多少回復と想定しています。

大塚の実績を見ると、売上高は1,944円。武田に引けをとらないというより、僅かに上回っています。問題は利益。営業利益は177円に過ぎず、武田の3分の1です。財務体質は良好。利益準備金が総資産の4割に達しています。有利子負債は162円に過ぎません。

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武田は、強い収益体質に加え、配当水準も高く、財務体質も大塚に比べ一段と強固です。利益準備金は総資産の8割を占めています。有利子負債は僅かに4円。

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次に、簡単な財務分析です。

大塚の総資産営業利益率(OROA)は実績ベースで6.84%。特に悪いわけではないのですが、武田はその2.2倍です。OROAは営業利益率と総資産回転率に分解できます。大塚の総資産回転率は武田を上回ります。資産効率は良いのです。ところが利益率の格差があまりにも大きいことが、OROAの格差の原因となっています。製品構成の差を考えれば、この利益率の格差を大きく縮小するという考え方は現実的ではなさそうです。

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武田はこのようになっています。今期は利益率が落ちますが来期から回復が見えてくると考えています。総資産回転率の低さが多少目につきます。戦略的には資産効率の改善が課題であるようです。

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最後に株価評価です。

大塚のBPSは実績で1738円。PBRを1.38倍と見るため、BPSにPBRを掛け合わせて、株価は2,400円としているわけです。このPBRはPSR(株価売上高倍率)、総資産利益率、財務レバレッジ(株主持ち分比率の逆数)という3つの要素に分解できます。ポイントはPSRの1.23倍です。私はこれが1.31倍まで高まってもおかしくないと見ています。すると、株価は2.653円。実は、この株価でのPERは20倍。これを妥当な水準と見ています。

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同じ手法で武田を見てみます。PSRは利益率とROEを掛け合わせたものですから、今後の利益率の回復を前提として、3.36倍程度のPSRが期待できると見ています。すると株価は5952円。この株価では、PERを大塚と同じ20倍としていることになります。

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以上を念頭に置くと、大塚ホールディングスは、2,400円程度で上場されるならば10%程度の上値余地が見込まれると考えます。つまり、人気化してこの価格を大きく上回るようであれば、その後の展開は要注意かもしれません。一方、武田薬品工業は現在大きく調整した水準にあり、今後回復に転じると5割程度の上値が見込めるのではないかと考えています。

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2010年9月30日 (木)

キユーピー(2809) : 春 研一

 キユーピー(2809)は当ブログでも推奨銘柄として何度か取り上げさせていただいたが、このところ年初来高値を更新している数少ない銘柄です。もちろん、同社のような食品企業が上昇している背景には景気の減速感がありますが、その中でも同社の好調ぶりは目をひくものです。

参照URLhttp://kakashi490123.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/28092010630-0ce.html

 そのキユーピー(2809)が930日に201011月期第3四半期累計期間業績を公表したので、その報告をします。結論から言えば、決算発表後にやや株価が調整するようであれば、再び絶好の買い場になると考えられます。

 201011月期第3四半期連結業績(3ヶ月)は2.7%増収、1.2%営業減益となりました。上期の6ヶ月間が2.2%増収、46.3%増益であったことを考えますと、一見業績拡大に一服感が出たように見えます。しかし、20095月にマヨネーズを中心に値下げを行っていますので、買い控えにより第2四半期の営業利益が前年同期比9.3%増益であったのに対して、第3四半期には2.0倍と大幅に増加しています。その異常に高い利益水準に対して、ほぼ横ばいを確保したことは、かなり好調であったと評価できると思います。

Ws20100930

 第2四半期終了時点で増額修正した会社側の現時点の営業利益予想から第3四半期までの累計営業利益を差し引くと、第4四半期の営業利益は36億円、10.2%減となります。これは第3四半期と比較しても大幅な減少です。

 食品企業の場合、売上、利益にはかなり季節性があります。そこで、2004年度から2009年度の同社の四半期ごとの営業利益の平均値を求めると、第1四半期20億円、第2四半期53億円、第3四半期34億円、第4四半期43億円となります。それぞれの平均値に対する今年度の各四半期の営業利益水準は、第1四半期2.2倍、第1四半期1.4倍、第1四半期1.8倍で平均1.8倍となる。そこで、第4四半期にこの1.8倍を適用すると、78億円と計算できます。

 既に上で述べたように現時点の会社計画では、第4四半期は36億円程度の営業利益となることから、状況に大きな変化がなければ増額修正の可能性は高いものです。

 1990年代、2000年代とデフレ下で食品企業は競って価格を引き下げてきましたが、価格引下げに見合うほど数量が増えず、一方3年前からのコストアップ対応の値上げでも、需要はさほど低下しませんでした。そのため、食品メーカーはコスト対応の値下げは行っても、必要以上の値下げは意味がないものと考え始めています。加えてもともと食品企業の業績は国内外の景気が悪く、コストが低下する局面では好調です。そのような状況から、このところカテゴリートップの食品企業の業績は全般的に好調であり、同社の好調もそれと軌を一にしたものと言えます。

なお、キユーピーのより深い分析はこちらの記事で行っています。

参照URL: http://ameblo.jp/halariga/entry-10470224586.html 

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2010年8月20日 (金)

アリアケジャパン(2815):業績フォロー(10.8.20) : 春 研一

 すでに、86日にブログに決算速報を掲載しているが、アリアケジャパン(2815)の業績フォローを報告する。

 決算速報: http://ameblo.jp/halariga/entry-10612174114.html

 20113月期第1四半期連結業績は0.9%増収、89.3%営業増益、2.2%税前増益、3.6%純利増益であった。

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 まず、売上高と営業利益について、単体(国内)と子会社(主として海外)に分けて見た表を下に示す。

Wsb20100820

 国内の売上高は前年度に期を追うごとに伸び率が高まっている。そして、第4四半期には前年同期比二桁増に乗せたが、この第1四半期にはさらに伸び率が高まった。

    

 これは前回のレポートでも述べたように、それまでの単品営業から、トップセールスによる企業対企業の営業に変えたことが効を奏したものと考えられる。

    

 これによって商品ごとの粗利率は低下するが、販売数量増が期待できるため、会社全体としては利益率が上昇するものとなる。実際、単体の四半期ごとの売上高と営業利益の伸び率を比較すると、一貫して営業利益の伸び率のほうが高くなっており、会社側の狙い通りと言えよう。

    

 ただし、前年度に関しては、原油を初めとしてコストが低下しており、むしろ新営業政策の効果よりコスト低下の方が大きく寄与したと考えられる。前年度の第4四半期からは売上高の伸び率が大きく高まっており、またコストも大きくは変っていないと思われ、本格的に新営業政策の効果が出てきたと考えてよさそうである。

    

 海外を中心とする子会社に関しては、売上増加がいよいよ始まったと判断できよう。前年度の第4四半期の子会社売上高が51.5%増となっているのに対して、第1四半期は23.0%増と低下しているように見えるが、これは為替の影響である。

    

 一方、海外の営業利益については、若干赤字が拡大しているが、円高を考えると悪化幅はもう少し大きかったことになる。

この中身は、中国の利益増が欧州の赤字拡大に食われてしまったものである。欧州の場合、立ち上げ期にあり、徐々に固定費が増えているものの、売上増のピッチが会社の見込みを下回っていることによる。海外の売上増は伸び率を見ると大きなものだが、今のところ会社側の見込み、市場の期待を下回っていると言えよう。

   

 最後に営業外の為替差損について考える。同社は海外工場で加工した原料を国内に持ち込んでいる。そのため、コストを事前に確定させる目的で為替デリバティブを保有している。これは過去から行ってきたことであるが、最近会計制度が変更されたことによって、デリバティブを決算期ごとに時価で評価するようになり、大きな為替差損益が計上されるようになった。

   

 基本的には輸入に対する外貨の手当てであるから、円高になれば差損が、円安になれば差益が発生する。これは、デリバティブを保有しなかった場合、どうなるか考えてみよう。

  

 当然、原価に直接反映することになるので、逆に円高ならばコスト低下、円安ならばコスト高となる。ただし、デリバティブは数年分保有しているため、変動額は予約をしなかった場合に比べて大きなものとなる。メカニズムとしてはこのようなものである。

    

以上が同社の業績の現況である。

     

 さて、現時点の株のバリュエーションはPBR約1倍、PER20倍である。かつて、日本株が高い評価を受けていた時代であれば、同社のポテンシャルを評価して、割安という考え方もできたろう。しかし、食品株の平均PER1315倍に低下した現状を考えると、現時点のバリュエーションは即座に割安と言えるものでもなかろ   う。

    

ベストシナリオは欧州の売上がかつての日本同様、急拡大し、企業全体としても2030%を超えるような成長が続くことである。同社の技術を考慮すれば、どこかの時点ではその可能性もあろう。しかし、同社のビジネスがある市場に浸透してゆく場合、どうしても初速はゆっくりとしたものにならざるを得ない。

国内の再成長はどうやら本物の可能性が高まってきたことから、株価の上昇スピードはこの欧州の売上拡大ピッチに依存していると考えられる。

その面からは、日本に成長ポテンシャルを持った企業がすくなる中、今後とも四半期ごとの業績のフォローアップが欠かせない企業の1社であろう。

     

 なお、同社の欧州市場でのポテンシャルについて深く分析したレポートを作成しています。興味のある方はご覧ください。

「アリアケジャパンの秘密(34ページ)」→  http://ameblo.jp/halariga/entry-10590292674.html

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株式関連記事目次: http://cherry100.blog108.fc2.com/blog-entry-114.html

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2010年8月 8日 (日)

日本ハム(2282):2011年3月期第1四半期連結業績 : 春 研一

86日に公表された日本ハム(2282)の20113月期第1四半期連結業績の報告をする。

                                                                     

20113月期第1四半期連結業績は0.9%増収、89.3%営業増益、2.2%税前増益、3.6%純利増益となった。

Ws20100808

 営業利益は大幅な増益となったが、これはある程度事前に予想された範囲の増益であった。営業利益32億円の増加の内訳は、食肉事業のみで32億円となっており、その他は横ばいであった。食肉事業は需給変動によって12年の短い周期で好不調を繰り返す傾向にある。2009年度第2四半期まで厳しい状況にあり、第3四半期から急回復を示している。

     

 一方、営業外で為替差損が発生したため、税前利益(同社はSEC基準であるため経常利益という概念がない)はほぼ横ばいにとどまった。同社ではオーストラリアの子会社が円建ての債務を抱えているため、円高になると差損が、円安で差益が発生する。ただし、これは同社にとってある面ヘッジ的であると考えられる。

     

 同社はオーストラリアから牛肉を輸入しており、その事業自体は円安で仕入価格の上昇、円高で仕入価格の下落となる。そのため、事業と資産である部分消去しあう形となる。ただし、今回に関してはマイナス面が大きく出た可能性が考えられる。

     

 これは、為替が短期間に大きく逆方向に動いたことによる。仕入れのほうで考えると、3月から5月半ばまで一貫して円安であり、コストは上昇したと考えられる。しかし、債務を換算する6月末は逆に円高であったことによる。つまり、この第1四半期は好調ではあったが為替変動の微妙なずれによって、実態より悪く見えている可能性があるということだ。

 なお、810日(火)に決算説明会が予定されており、追加的な情報があれば、その後に再度報告を行う。また、20103月期決算についてブログで報告を行っているので参考にしてもらいたい。

→ http://cherry100.blog108.fc2.com/blog-entry-101.html

なお、同社の業績動向は輸入食肉需給と連動性が高く、これを理解していないと同社の業績や株価については理解できない。その輸入食肉需給に関してはこちらで詳細に解説している。

→ <a href="http://ameblo.jp/halariga/entry-10394042631.html" target="_blank" title="食肉需給">食肉需給</a>

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2010年8月 7日 (土)

アリアケジャパン(2815):決算速報(10.8.6) : 春 研一

 86日に公表されたアリアケジャパンの20113月期第1四半期連結業績の報告をする。

     

 20113月期第1四半期連結業績は20.6%増収、32.1%営業増益、63.7%経常減益、95.7%純利減益となった。輸入予約に伴うデリバティブの評価損が営業外で4億円強発生したため、経常利益以下は大幅な減益となった。

      

 ただし、それを含めて、期待通り、もしくは期待を上回る結果であったと評価できよう。

Ws20100806      

 売上高は20.6%増収と、第4四半期に続いて20%を超える増収となった。これは、国内を中心として、会社ぐるみで取引を行うという戦略が、花開いてきたものと解釈される。

     

 第4四半期の場合、前年同期が10.9%減収であったことや、海外売上が為替の換算の関係で極端に多く見えたということもあったが、この第1四半期にはそのような問題もないことから、今後の売上拡大に対する確信はより高まったのではなかろうか。

     

 デリバティブに関する評価損益の問題は常に付きまとう。同社は海外から原料を輸入しているため、為替デリバティブを保有している。海外通貨に対して円高ならば評価損、円安ならば評価益となる。3月末のドル94.0円、ユーロ126.4円に対して、6月末はドルが89.5円、ユーロが109.3円となっている。7月末で見ると、ドルは87.7円と引き続き弱いが、ユーロは114.7円と反転している。

ただし、この為替デリバティブの評価損益に関しては、やがては市場でそれほど気にされなくなる可能性もあろう。

      

 現在の株式市場はことに市場全体の傾向に引きずられて、上昇、下落する傾向が強く、必ずしも個々の企業のファンダメンタルを強く反映するとは限らない、そのため株価がどのように動くかは即断しにくいが、少なくともファンダメンタル面からは好循環局面に入ったのではないかと考えられる。

      

 ただし、短期的な業績動向として、いくつかの点についてはリスクを考えておく必要があろう。一番大きなものは同社のビジネスが猛暑に弱いという点である。ウエイトは低下したとは言うものの、依然ラーメン向けのウエイトが一定割合に達する。中華料理店や即席めん向けである。過去においても、猛暑によって業績が悪化したことがある。よって、この上期の業績もひょっとすると会社計画が利益面で未達となることはありえよう。ただし、売上高が未達となる可能性は低そうであるので、市場があまりネガティブにならない可能性もあるが。

    

 なお、アリアケジャパンに関しては、企業分析レポート(34ページ)を作成しているので、さらなる詳細はそちらを参考にしてもらいたい。

 http://cherry100.blog108.fc2.com/blog-entry-142.html

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2010年7月23日 (金)

注目企業の財務・株価分析 : 信越化学工業(4063]

 好決算を背景に、信越化学工業の株価が1.47%上昇しました。

 第1四半期の決算と同時に、これまで公表を控えていた2011年3月期の通期業績予想がリリースされましたので、それを用いて財務株価分析をしてみました。

 まず株価は4135円。前日比60円、1.47%高となっています。

W120100722

 次に財務データ。今日、会社側が公表した数字をそのまま用いています。全て一株当りです。したがって、2011年3月期の売上高は2407円、営業利益が343円、当期利益が255円で、そのうち100円が配当金です。利益剰余金が期末で3206円に膨らむ見込みです。総資産4249円と比較して、その大きさが際立ちます。有利子負債は46円に過ぎません。

W220100722_2 

 財務分析で注目されるのは、総資産回転率の向上。利益率の上昇と重なって、総資産営業利益率(OROA)が6.63%→8.06%→8.43%と急速に上昇する見通しです。

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 株価評価としては、来期業績2012年3月期をベースにすると、株価売上高倍率(PSR)1.55倍、総資産回転率0.61回転、財務レバレッジ1.22倍と予想されますので、PBR(純資産倍率)はこの3項目を掛け合わせた1.15倍となります。一方、BPSは3610円と予想されるため、両者を掛け合わせた数字が現在株価である4135円となっています。

W420100722

 そこで来期の目標株価の算出するにあたって、PSR1.55倍を目標PSR 1.83倍に置き換えます。そして、目標株価を逆算して求めると4,870円となります。約17%程度の上昇ポテンシャルがあると見られます。

 なぜ目標PSRが1.83倍なのか?この数字を当期利益率割って求めるPER(株価収益率)を20倍と見ているためです。ちなみに、前期のPERは21.31倍でしたから、多少低目の想定をしていることになります。

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2010年7月11日 (日)

注目銘柄の財務・株価分析:JXホールディングス(5020)

 ベトナムで製油所の建設・運営に進出するなど、積極姿勢が目を引くJXホールディングスの財務・株価分析をしてみました。

 ベトナムのプロジェクトは、ペトロベトナムとの合弁であり、資金計画など不明確な点も多いことから、分析の中に織り込んではいません。

 また、JXホールディングス自体が今年4月にスタートしたばかりで、新しい四季報にも一部の数値が抜けているため、会社の決算説明資料や経営方針資料で補っています。

 まず株価データから。7月9日の終値は490円です。

Jxhd120100709

 次に財務データです。全て一株当りの数字であることにご注意ください。今期(2011年3月期です)の利益が(一株当り)98円と、前年の29円から大きく増加します。理由は、新日本石油と新日鉱ホールディングスの統合に伴う「負ののれん代」という特殊要因です。来期は32円と通常の水準に戻ります。

Jxhd220100709

 財務分析は次のようになります。今期については、「負ののれん代」効果で、営業利益率が1.33%であるにもかかわらず、当期利益率が2.72%に跳ね上がります。基本的には、経営統合によって、資産回転率が低下気味です。製油所の統合などで、効率改善の余地が大きいと思われます。

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 それでは株価評価です。来期ベースで見ると、株価490円はBPS(一株当り純資産)707円とPBR(株価純資産倍率)0.69倍で構成されます。PBR0.69倍は、PSR(0.14倍)、総資産回転率(1.38回転)、財務レバレッジ(3.65倍)に分解されます。そこで、適正PSRを0.16倍と見て、目標株価を算出すると、目標株価は約570円。16%の上昇余地があると見ることができます。

Jxhd420100709

 なぜ適正PSRが0.16倍なのか? このPSRを使ってPBRを算出すると0.81倍のPBRとなり、ここ3年の上限である前期と同水準になるためです。海外進出が評価されれば、さらにプレミアムが期待できるのですが、一応保守的に考えています。

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