11月の鉱工業出荷在庫バランス詳報
本日、経済産業省が発表した11月の鉱工業生産動向をベースに作成した出荷在庫バランスを多少詳細に見てみたいと思います。図の数が多いので、気楽に印象を掴んでいただければ十分です。
まず長期的な動き。11月は多少下落したものの、極端な動きではないことがわかります。
最近の動きを拡大してみると、出荷が頭打ちで、在庫がわずかに積みあがっています。
鉱工業の内訳として耐久消費財を見ると下落が加速しています。タイの洪水の影響で乗用車の停滞が原因であるように見えるのですが、実は後述するように乗用車は悪化していません。東日本大震災後に急増した家具類などの動きが一巡しつつあることが大きいようです。
非耐久消費財も下落していますが、出荷の状態は悪化していません。大震災後に見られた在庫の払底局面から徐々に正常化に向かったことが背景にあるようです。もともと、食料品や衣料などはディフェンシブな特性があり安定的に推移するのが特徴ですから大きな心配はないと見ています。
機械類などの資本財に徐々に底打ちの兆しが見えてきました。キャッシュが豊富な企業の中に、設備投資を増加する動きだ出てきたと伝えられているため、さらに底打ちが鮮明になりそうです。
ただし、輸送機械部門を除く資本財の基調は比較的に弱いようです。つまり、自動車など輸送機械部門の状況が比較的に良いということです。タイの洪水で水浸しになった工作機械は廃棄せざるを得ないようですから、輸送機械関連の事業環境はかなり改善しつつあるようです。
建設財の低迷が続いています。東日本大震災からの復興が著しく遅れていることが最大の理由です。政治のリーダーシップを担う人材の欠如が致命的と言えそうです。しかし、そう悲観的にならず、来年はこの指標の上昇が鉱工業全体を引き上げる可能性があると考えれば良いのではと思っています。
電子部品や、鉄鋼(高炉)、化学製品などの生産財は僅かに反落しました。一時的な息切れだと考えています。
より詳細な分類の中から乗用車を見ると、かなり基調が強いことはすでに指摘した通りです。タイの洪水は生産の頭を抑えましたが、そのために在庫の増加も抑制されたようです。
生産財の中の集積回路(半導体)は小動きです。ただし、最悪の状態からは抜け出しつつあるように見えます。
ということで、長くなってしまいましたが、2012年は建設財の本格的な反発がいつごろから鮮明になるかが注目されます。
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