イーストマン・コダック社に見る「選択と集中」のリスク
先ほど、イーストマン・コダックが連邦破産法第11条の適用を申請したというニュースが流れました。
一昔前まで世界中で圧倒的なブランド力を謳歌していたコダックの凋落に時代の移り変わりをしみじみと感じさせるニュースです。
興味深いのは凋落の背景。1月17日に日経新聞で指摘していたのですが、90年代にコダック社が採用した「選択と集中」戦略が最も重要な凋落の要因に一つになったということです。
利益貢献度が最も大きいフィルム事業に経営資源を集中し、採算性の低い事業を次々と切り離したのです。
その際に、イーストマン・ケミカルなど将来の成長を担う可能性のある部門も切り離してしまいました。そのため、液晶用光学フィルムなど現在の花形分野に参入できなかったことが130年余りの歴史を持つ映像機器大手を破たんに追い込みました。
「選択と集中」という投資家に受けの良い経営戦略のリスクについて改めて認識した次第です。
蛇足ですが、ITバブルの時代に、日本板硝子が光通信関連製品部門の利益を大きく増やしていたころ、外資系の機関投資家から「なぜ低採算で成長性の低い板ガラス事業をやめて、高収益で高採算の光通信関連に経営資源を集中しないのか?」とやりこめられていました。経営陣からは説得性のある反論はなかったと記憶しています。
しかし、もし経営陣がその機関投資家の提言を受け入れてそのまま実行に移していれば、今はおそらく消滅していたのではと思います。
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